測定器の作り方



最後に紹介する方法は、最も簡単かもしれません。

<材料>
 ・ビン                           1個
 ・穴の開いたフタ(ゴム栓・コルク栓でもOK)    1個
 ・ストロー(ガラス管)                  1本
 ・白い厚紙                        1枚
 ・洗面器などビンよりも大きな容器          1個
 ・着色した水

ストローやガラス管とフタとの間を密着させて、空気や水が漏れたりしない状態にします。 このフタでビンに栓をします。 絵の具やインクなどで着色した水を大きな容器に入れます。 この容器の水にストローの先端が浸かるように逆さにしたビンを立てます。 このままでは水はストローの中に入っていかないので、ビンを濡れた暖かいタオルなどで温めます。 すると中の空気が膨張してストローの口から泡となり出て行きます。 しばらく温めてから冷やすと膨張した空気が冷やされ収縮してストローの中に水が入っていきます。 水の水位が見やすい位置になるように調整してください。 白い厚紙をストローの後ろに、水の高さが分かりやすい位置に接着します。

これで出来上がりです。

この温度計は、現地の気圧が高いと水位も高めになり、低いと水位も低めになります。
「簡易的な温度計の作り方 (1)」 では水を使った温度計を作りましたが、この温度計の欠点はガラスビンの中の水の量が多すぎて、すぐに温まったり冷えたりしないので、変化の激しい温度は測りにくいという欠点があります。

今度紹介する温度計は、空気を使います。 空気は水に比べて 「比熱」 が小さいので、周囲の温度が上がればセンサーとなる空気の温度も上がり、周囲の温度が下がればセンサーの空気の温度も下がり、温度変化に対する反応がすばやくなります。

<材料>
 ・ビン                           1個
 ・穴の開いたフタ(ゴム栓・コルク栓でもOK)    1個
 ・ストロー(ガラス管)                  1本
 ・白い厚紙                        1枚
 ・食用油 (もしくは水)

少量の食用油もしくは水をストローの中に入れ込みます。 ストローやガラス管とフタとの間は密着されていて、空気や水が漏れたりしない状態にします。  ビンにストローを刺したフタで閉めます。 ストローの中の食用油や水は、栓より上の見やすい位置に調整します。 白い厚紙をストローの後ろに、水の高さが分かりやすい位置に接着します。

この簡易温度計の欠点は、大気の圧力、つまり気圧に影響することです。 つまり、同じ温度を測定しても、現地の気圧が高いときはストローの中の水面・油面は大気圧に押されてやや低くなり、低気圧のときはやや高めになります。 また、ストローとフタの隙間が本当に空気の行き来がないようにピッタリと合わさっているのか確認するのが難しいです。
温度とは、物の熱さや冷たさを表します。 物質がもつ熱エネルギーの一部です。 全てのエネルギーは最終的に熱エネルギーにたどり着くので、その一部である温度を正しく測ることは、物理現象を正しく理解するには最も基本的で、最も重要な手段になります。

このように、温度とは重要な現象であるため、比較的安価で精度の高い温度センサーを購入することが出来ます。

ですが、ここでは比較的高価で精度の悪い温度計を苦労してつくってみましょう。 温度とは何か、が分かるようになります。


<材料>
 ・ビン                           1個
 ・穴の開いたフタ(ゴム栓・コルク栓でもOK)    1個
 ・ストロー(ガラス管)                  1本
 ・白い厚紙                        1枚
 ・水

水を満たしたビンに、ストローやガラス管を刺したフタをする。 ストローやガラス管とフタとの間は密着されていて、空気や水が漏れたりしない状態にする。 水はストローの中の、栓より上の見やすい位置まで上がるようにする。 白い厚紙をストローの後ろに、水の高さが分かりやすい位置に接着する。

これで、ビンを温めると水が膨張してストローの中の水位が上に上がります。 そして、ビンを冷やすと水位が下がります。 正確に測れる温度計をもってきて、実際の温度を測り、厚紙に水位に目盛りと温度を記入して下さい。 これを様々な温度で繰り返すと簡易温度計が出来上がります。

この仕組みは、数日で中の水が蒸発して温度と水位の関係が変わってしまうので、ストローの中に油を1滴たらしてみてください。 少しは長持ちするようになります。
(1)で紹介した手作り気圧計よりも、もう少し実用的な気圧計の作り方があります。
ただ、少し材料が入手しにくいかもしれません。

材料/
 ・大きなビン                                 1個
 ・ストロー(ガラス管やアルミ管) ビンの2倍の高さ          1個
 ・穴を空けた栓 (完全にビンと管の隙間がなくなるような素材)   1個
 ・水(色付きの水が好ましい)
 ・白い厚紙                                  1枚

ビンに半分ほど色水を入れます。 栓にストローを2対1、もしくは3対1ぐらいの割合になるように差し込みます。 ストローの長い方がビンの中に入るようにして、ビンに栓をします。 ストローの先端は色水の中に水没するようにします。 水没しなければ、色水を多く入れるか、ストローを深く差し込んでください。

すると、ストローの中の色水は液面と同じ高さになります。 が、ここでガラスビンの中に少し息を吹き込みます。 すると、ガラスビンの中の空気の圧力に押されて、ストローの液面が上昇します。 その高さが栓よりも高くなると記録には便利になるので、がんばって調節してみましょう。

ストローの中の色水が栓よりも高くなったら、その後ろに白い厚紙を貼り付けます。
このストローの中の水面高さが現在の気圧を表しています。

正確な気圧計をもってきて、現在の気圧と目盛りを厚紙に書き込みます。 また次の日、同じように気圧を測って目盛りを記入してゆきます。
これを繰り返して気圧計をつくります。

これも水面からの蒸発が気になるようでしたらストローの中に少量の油をたらしてください。 水の蒸発が抑えられ、同じ気圧なのに水面が低くなるという現象が現れるの遅くなります。

気圧計は、気象現象を知る上でとても重要な測定器です。 特に、天気は気圧を正確に測ることでより正確な予測を立てることができます。 ですから、簡単に正確な気圧計が作れると大変うれしいのですが、残念ながら気圧計は簡単にはつくれません。

でも、夏休みの自由研究に使えるような簡単な気圧計であれば、工夫次第でそれっぽく作ることが出来ます。

まず、実際の気圧計の、最も簡単な仕組みを紹介しましょう。

これは、イタリアのトリチェリという有名な学者の助手、ヴィヴィアーニが1643年に行った実験とされています。

試験管のように片方が開いて、片方が閉じている約1mのガラス管の中に、水銀を満たしてから栓をします。 その栓をした方を水銀の中に沈め、逆さに立ててから栓を空けます。 すると、ガラス管の中の水銀は少し水位が下がりますが、ある高さで止まります。 この高さは下の水面からほぼ76cmで止まります。 この高さが空気の圧力であり、大気圧と呼ばれています。 ですから、1気圧の単位は 760mmHg と表記することもあります。 Hg は化学記号で水銀を意味しています。

それでは 『簡易的な気圧計』 の作り方ですが、水銀の代わりに水を使います。

用意する物/
 ・ガラスビン (できるかぎり細長い物で、ガラスは水面が見える色)   1個
 ・洗面器             1個
 ・食用油             少々
 ・絵の具             少々

形が変わらないように、できるだけ細長いガラスビンを使います。 まず、洗面器に半分ぐらいの高さまで水を入れ、ガラスビンの中にも半分ぐらい水を入れます。 ガラスビンの口を指でフタをして、中の水をこぼさない様に逆さまにして、口を洗面器の中に入れます。 そして、ガラスビンの口の指をそっと離します。

すると、水面が少し下がりますが、ある高さで止まります。

この高さがこのときの気圧です。

このとき、正確な気圧計で測っておき、ガラスビンに目盛りと数字を書き込みます。 そして後日、気圧が上がったとき、または下がったときに正確な気圧計で気圧を測定して、また水面に目盛りと数字を書き込みます。 これを繰り返すと簡易的な気圧計ができあがります。

この方法は、次第に水が蒸発してしまうので、水面に食用油をたらしておくと長持ちします。 油が扱いにくい場合は、毎日蒸発して減った水分を補給してみるのも一つの方法でしょう。

また、水面の高さを見るのに慣れていない小学生は、水に少量の絵の具をたらして色をつけてもいいかもしれません。 もちろん、絵の具が多すぎるとビンの内側に絵の具が付着して逆に見えなくなってしまいます。 ほんとうに、ほんのりと色づく 『わずかな量』 だけです。

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