家の中に煙がこもったら明日は雨

昔の家には、土間にかまどや囲炉裏や火鉢という、火を起こして暖を採ったり調理をする物がありました。 それらで直接木や炭に火を入れていたため、煙が室内に立ち込めることもありました。 そこから経験的に生まれた諺だと思われます。 その煙が家の中からなかなか外へ出なかったら、次の日は雨になるだろうという諺です。 これは、昔の建物は今とは違い、隙間風が多く、大体1時間に室内容積の5回分とか2回分の空気の出入りがあったそうです。 空気の出入りは屋外の風圧の影響もありますが、屋外と屋内の温度差による換気の影響もあります。 一般的に屋内で暖を採る季節は、屋内が暖かく、屋外が涼しい状態です。 屋内外の温度差が大きいほど、暖かい空気は上昇気流となり建物から出てゆこうとするので、屋内で発生した煙は比較的短時間に外へ排出されます。 ところが屋内外の温度差が小さいと、上昇気流が弱く、煙は室内にこもるようになります。 このような状態は、外が曇り空で放射冷却の効果も少なく、外が思ったより冷え込まない夜です。 つまり、低気圧が近づいており、曇り空になってきた夜です。 もちろん、外に顔を出せばすぐに曇り空なのが分かりますが、この諺は外に顔を出さなくても明日の天気が予想できる便利な諺だったと言えます。
季節おもしろ事典―倉嶋厚の風のたより』(倉嶋厚著) 生活に身近な気象や風土についての書籍だったら、まず最初に浮かぶのは『倉嶋厚さん』だと思います。 数多くの気象に関する出版物とその分かりやすい語りで、多くのファンを生み出しています。 この本は、読売新聞に掲載されていたコラムを再編集されたものです。 その他、この姉妹図書に、『季節よもやま事典』『季節みちくさ事典』『季節つれずれ事典』があります。
『季節よもやま辞典―倉嶋厚の辞書遊びノート』(倉嶋厚著)
『季節みちくさ事典―倉嶋厚の四季のたより』(倉嶋厚著)
『季節つれづれ事典―倉嶋厚の折々の記』(倉嶋厚著)

『天気予知ことわざ辞典』(大後美保著) 地方に残る天気のことわざを集めた辞典です。幅広く、多くの地域で取材してきたのが伺い知れます。 天気にまつわることわざを集めた書籍では、この本が一番多くのことわざを掲載しているのではないでしょうか。 著者には敬意を表します。ただ、惜しむらくは、似たようなことわざが何度も掲載されたり、現象の説明やことわざの解釈にハテナ?と思うこともしばしばあります。

『ことわざから読み解く天気予報』(南利幸著) 手軽に持ち運びできる新書本です。ことわざの背景にある気象現象を分かりやすく理論的にひも解いています。 ことわざが、単なる迷信やしつけ、言葉遊びなどではなく、背景には現象の経験則があり、物理現象があり、 物理理論で裏付けできることを分かりやすく解説しています。

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